京都民医連第二中央病院広報誌 2010年11月発行 vol. 15

時代は禁煙へ
あすかい診療所禁煙外来で卒煙しましょう!

保田看護師

あすかい診療所
禁煙外来専任看護師
保田祐子

 今年10月1日からたばこ代が値上がりしました。「え~っ。それは大変!」「それならやめる!」「それでも吸う!」と愛煙家から様々な声が聞かれました。私は看護師の立場から、禁煙する人が増える機会だわ! と素直に喜びました。
  あすかい診療所では、月曜日午後の週1回禁煙外来を行っています。2008年から2010年10月現在で55名の卒煙者を送り出しました。日本でも内服の禁煙治療薬が使えるようになり、開設当初より内服薬での治療をおすすめしてきました。成功率は6割以上と以前に比べ高くなっています。患者様にもご好評です。ぜひ挑戦してみてください。

※内服治療を開始するに当たっての場合医師の診察が必要です。持病によって内服治療ができない場合があります。

なぜ喫煙が問題になっているのか

 タバコを吸うことや、タバコの煙を吸うことでニコチンや、一酸化炭素、ダイオキシン、など200種類以上の有害物質を吸い、癌や、心臓病(心筋梗塞、狭心症)、呼吸器疾患、脳梗塞、感覚異常、不妊、出産異常がおき、死亡率が高まるというデーターがあるからです。またタバコは経済的に大きな損失にもなります。タバコ代、タバコの不始末による火事、家の汚れ、タバコによる医療費など経済損失ははかり知れません。

日本の禁煙環境は?

海外のマイルドセブン

 遅れています。海外では「喫煙で黒くなった肺の写真つきで吸うとガンになります」と説明のついたタバコが売られて健康警告表示を義務付けている国もあります。国民の命が大切と、ようやく日本も行政レベルでの対策が本格化し「21世紀における国民健康づくり運動」(健康日本21)を2000年3月に出し目標を明確にしました。①喫煙が及ぼす健康影響についての十分な知識の普及。②未成年者の喫煙の根絶。③公共の場や職場での分煙の徹底及び効果の高い分煙についての知識の普及。④禁煙を希望する者に対する支援プログラムの普及。また2003年に「健康増進法」が施行され官公庁、駅、デパート、病院、飲食店など多くの人が利用する施設に禁煙や完全な分煙が義務づけられました。しかしまだまだ社会には浸透できていません。職場で吸えないからと最近歩きたばこも増加していると思いませんか? 知らない事は怖いことです。タバコの煙は凶器と同じです。吸った人の姿は見えなくても煙の色は見えなくても臭いが残っているように有害物質も浮遊しているのです。すぐに結果が出ないので因果関係も立証できないので困ったものです。タバコの煙で自分や、副流煙で愛する家族、友人、知らない人の命までも縮めている事をもっともっと知ってほしいと思います。「11分ずつ命を縮めるその一本」「タバコを吸わない子の発ガン率高まる親の喫煙」

禁煙が難しい理由

 やめにくいのは意志が弱いからではなく、ヘロインやコカインと同じように薬物依存症の一つ「ニコチン依存症」だからです。タバコへの依存は目覚めや食後の一服など生活習慣としての喫煙や、気分やストレスをコントロールするための心理的依存、ニコチンに対する身体的依存の二つから成り立っています。禁煙しても失敗しやすいのは身体的にニコチン依存になってしまい、ニコチン切れによる「イライラ」「集中できない」などの離脱症状が起こるからです。2003年より禁煙治療が保険診療で認められました。また2008年より内服薬の使用が認められ、禁煙外来で身体的、心理的依存を押さえ禁煙をスムーズにできる禁煙環境が整ってきています。

禁煙の効果はすぐにあらわれます!

 「ずっと吸ってきたんだし」「今さらやめても」と思っている方も多いのでは?しかし禁煙後の体の調子の変化は明か。健康になっていく様子が実感できます。禁煙を始めるのに「遅すぎ」はないのです。

ストレス解消のため吸っている!?

 ストレスが多いからたばこをやめるとイライラするから! との訴えは多いです。しかしストレス解消は、ほんの一瞬でニコチンが切れればタバコを吸いたくなり、どんどん吸わないといられなくなる、ニコチンの命令で吸わされている、ストレスをさらに増やしているのです。

みんなで応援しましょう

 喫煙者は吸わない者から「臭い! 癌になるわよ!」など冷たく言われるほど硬くなに吸ってしまうもの。周りからは、卒煙した後の健康的な生活をイメージして、軽く声をかけてみてください。「体が楽になるわよ。応援するから禁煙してみない?」治療中は、以前より良くなったことを見つけて褒め、励まして下さい。2日目、1週間が山です。「顔色がよくなったね。がんばっているね。」しかし、「1本だけ!」には、ご注意を。1~2分の我慢でまぎれることがほとんどです。

どんな患者様がこられますか?

 喫煙歴 1日10本~40本を20年~40年、年齢20歳から80歳代の男女と様です。禁煙経験を持っているがやめられない。以前パッチで挑戦したがダメで、今回内服で、保険診療で禁煙できると聞いて来られる方も結構いらっしゃいます。「昨年禁煙したが、また吸ってしまった。今度は本数も少ないのできっぱりやめる」と2回目、3回目で本当に卒煙される方もおられます。ペースは個人差があります。

禁煙外来の受診方法

 禁煙治療には保険が使えます。
  決まった回数の受診が必要です。

対象者

 1日に吸う本数×喫煙の年数(ブリンクマン指数)=200以上の方で、喫煙に関する質問(10問)に答えて頂き、5点以上の方。また禁煙治療を初めて受ける方(以前禁煙治療を受けて1年以上過ぎている方)。これらの結果で健康保険が使えるかを判断します。

治療薬

 非ニコチン製剤の内服薬(チャンピックス)か、ニコチン製剤の貼付(ニコチネルTTS)を用います。当院では内服薬(チャンピックス)をお勧めしています。(持病に応じて医師と相談になります)

治療期間

 あすかい診療所では、内服薬の場合、2週間に1度の受診を7回つづけて来院して頂きます。

費用

 保険治療の場合、使用する薬によっても異なりますが上記の治療期間トータルで、3割負担なら13,000円~20,000円程度。1割負担なら4,000円~7,000円程度。が目安になります(標準的な治療の場合です)。

 2010年10月現在、タバコ税増税に伴う禁煙意識の高まりにより「チャンピックス錠」が欠品となっております。製薬会社によりますと、遅くとも来年1月からは供給体制を整えられる予定とのことです。禁煙外来の予約時にお電話でお尋ねください。


患者様からの感想

受診理由

生活苦で10月からタバコが値上がりするから/孫に臭いと言われたから/家族に勧められて/肺気腫で咳と痰で苦しいから/医師に勧められたから/父の病気から/体に悪いから

辛かったこと

吸えずにイライラしたこと/付き合い/葬式の時、勧められて断れなかった。

頑張ったこと

朝夕の我慢/自分の病気を考えて頑張った/思ったより楽だった。

卒煙して一言

嬉しい/頑張ってよかった/これからも禁煙を続けていこうと思います/パッチで失敗したが薬で成功できた/体が楽になりました/気分が良い/最高!/止められてよかった。


卒煙者からの一言

 なんとしなくやめようと思っていたところタバコの値上げをきき、3度目の正直でやめたくなった。以前パッチで禁煙できなかったので、自信がなく、何かでやめたかった。今回電子タバコにしようか悩んだが値段が高かった。本体を3000円から6000円、充電パック、カートリッジなど合計すると高くなる。調べて保険治療をしり、あすかい診療所へ来た。今回、薬で楽でした。心配した副作用もなく、夢も見なかった。2週間めに吸ってしまったがまずく感じて薬の効果を感じた。先生が思っていたより若くて初めはどうかな、と思ったけど、話しやすく、親切やった。先生も禁煙の経験があり、タバコを吸わない方法を詳しく教えてもらいました。看護師にもよく褒めてもらった。今は、タバコを勧められても欲しくない。定期受診している病院の看護師に禁煙を続けていられることにびっくりされている事が一番うれしい。もう、大丈夫(笑)。


あすかい診療所
禁煙外来:毎週月曜13時30分~16時予約制
TEL(075)706-6565
(受付時間 9:00~16:00 土日祝のぞく)