当然、涙、主張、そしてその先へ

山西 卓(京都府立医大 04 年卒)

 「患者さんと近い医療」「患者に対して最後まで責任を持つ医療」「専門にとらわれず(社会的なことも含めて)全体を診る医療」「地域に根付いた医療」といったことを最近よく目にしますが、これらの重要性や今後さらに重要視されていくであろうことは、医学生の皆さんもすでにご存知だと思います。そして(大学病院だけにいると気づきにくいのですが)皆さんの想像以上に、実践されておらず、必要とされているものでもあります。これらを目指し、実践することを当然のこととして、日々、スタッフが協力して医療を行っているのが民医連です。

 また、最近は医療・医学の質も特に医学生のレベルから向上してきていますが、(目先の技術などではなく患者に必要な内容に着眼すると)その点からも京都民医連は満足のいくものであると私は思います。

 ここまで書いたことは、将来何をするにしても、医師として生きていくならば必要なことであると思います。

 さらに、病院・組織としての特徴として、大きく二つがあげられます。一つは、病院の全職種が協力して研修医を育ててくれるということです。先日行われた、研修に関する会議でも病院中の、それこそ関係ないと思われるような職種まで参加して研修の評価やフィードバック、改善に関する議論が行われました。研修医のことを思って涙してくれるスタッフがいる病院は世界でも数少ないと思います。もう一つは、誰でも何でも主張できるということです。もちろん、正しくないこと、無理なことは通りませんが、正しい主張ならば、最初から相手にされないということはなく、主張・議論して実現できる空気があります。実際にやってみないとどうなるかわからないのが研修であり医療であり、だからこそ、医師初期研修の成功を病院全体の主要な目標にしているという背景と、その都度何でも主張できる空気が、何よりの環境であると私は考えます。

 このような組織の特徴も加味して、私は医師としての姿勢を形作る、大切な最初の場所に京都民医連を選びました。しかし、このような環境を生かすも殺すも最終的には本人次第です。このことを肝に銘じて日々研修していますが、同じことは医学生にも言えます。医学生は、確かに医療行為はできませんが、医師よりも行動できる範囲は格段に広く、時間もあります。しかし、行動する・しない、行った先でどこまで深くまで引き出して、見たり聞いたりできるかは学生次第です。そしてそれが医師になった自分にも影響するはずです。厳しく感じるかもしれませんが、むしろ私はこのことを肯定的に捉え、一人一人が持つ可能性を非常に楽しみにしています。皆さんが参加し、お互いが既知・未知の可能性を発揮し刺激しあえることが何よりの喜びです。なので、皆さんの参加を心よりお待ちしております。

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