自分の人生をどう生きたいのか

奥原 紀子(滋賀医大 04年卒)

 この文章を読まれるであろう医学生の皆さんもご存知の通り、今年から新卒医師の研修制度が変わりました。私たちの学年はマッチング制度の第一弾ということでそれまでうわさ程度にすぎなかったマッチングが具体化した 5 回生の後半から急に実習だ試験だ面接だと何が何やらわからぬままにふりまわされた人もたくさんいました。

 私は以前から民医連を進路の一つとして考え実習や見学をしていましたが、旧研修制度では大半の級友は大学病院で研修するため、自分だけ民間の病院にいくのは心細いような気持ちがありました。そのため新制度になったことで大学病院以外の選択肢がみんなに開かれたことで正直ほっとしました。これまで研修医を教育したことのない病院も急遽体制を整えて研修医を受入れるというのだからこれまで独自に研修医の受入れをしてきた民医連に行くことを迷う必要もないなあと思ったわけです。

 これからの医学生さんたちは、上の学年のてんてこまいぶりをみて、低学年のうちから早めに病院の見学や実習に行かれることと思います。それ自体は大変良いことだと思いますが心配なことが一つあります。試験もあるし面接もある、順位がつけられマッチングが決まるということになるとなんだか受験戦争というような状況を呈してくるということです。研修が有名で倍率のたいへん高い病院もあることでしょう。私が言いたいのは、あくまで自分の人生をどう生きたいかということなのだということです。高校生だったころには、どう生きたいのか、と言われても決められず備えあれば憂いなし、ということでより倍率が高く難しいハードルをこすよう努力しておけば良かったかもしれません。けれども医学部を出るころには最低でも 24 歳にはなっているはずです。いろんな病院を見ることで、医者といっても様々で、最先端の医療を担う人から町の医者までいろいろな医者がいて成り立っていることを知り、そのうちのどれに自分の将来の姿を重ねあわせることができるかという視点で自分の進路を決めていってほしいと思います。

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