京都民医連第二中央病院広報誌 2013年11月発行 vol.20

真の地域包括ケアをともに:信和会理事長 小林 充

磯野医師と二人三脚で

門前理事長の後を引き継ぎこの5月末から信和会理事長となりました。
私自身は左京区の生まれで小学生まではここで育ちました。また、今回府北部綾部市の京都協立病院からの異動となりましたが、そちらへ赴く前は第二中央病院の勤務でしたので14年ぶりの出戻りということになりました。

雪の中、長靴を履いて往診へ

前任者がスーパーマンだったので務まるかどうかとても自信はありませんが、同じく門医師から第二中央病院院長を引き継いだ磯野医師と二人三脚で頑張ってまいる所存です。

住民目線の「まちづくり」

団塊の世代といわれる方々が概ね75歳以上になる2025年という時代に向け、今、盛んに「地域包括ケア」という言葉が用いられています。「おおむね中学校区ぐらいの地域ごとに、医療とか介護とか福祉とかにこだわらず、高齢者や障害者の方が住み続けられるための施設や人のネットワークを作る」というような意味です。まさに民医連と友の会の目指す「まちづくり」の考え方と一致するものですが、最近では、政府・厚労省や京都府・京都市も「地域包括ケア」の推進に非常に力を入れています。しかし、そこには、地域と制度ががっちり手を組んだ住民目線のネットワークにするのか、国や自治体の責任が不明確になる中で営利業者も含めて「市場化」されていく道が開かれるのか、分かれ道が横たわっているように感じます。

患者さんの笑顔に癒されて

かつて、医学部を目指したとき、当初は父と同様に研究者になるつもりでした。しかし、学生の時に同行した訪問看護で訪れた先で、がんの痛みに苦しむ患者さんとそのご家族が、看護師の訪問に癒される姿に感銘し、一転地域医療の道を志すこととなりました。地域医療と大きくいっても自分に何ができるだろうと迷っていた研修医時代に、手すりにつかまり無理やり曲がった腰を伸ばして歩行リハビリに取り組んでいた整形外科病棟の入院患者さんに接し、総合的な内科力量の上に、神経内科やリハビリの専門性を積み上げることで、地域で生きていかれる高齢者・障害者主治医として役に立てるのではないかと考えるようになりました。前任地で病院長になったとき、これからは「自分が」ではなく「病院が」「職員が」、前へ進むことを一番に考えるべき立場になったんだなあと感じさせられました。

医療介護一体の法人運営

「住み慣れた地域で、だれもが最期に近い時まで、その人らしく生きぬいていく」それを支えうる、医療介護一体となったサービスが提供できるよう法人運営を進める 何度目かになる今度の転機はそういう役割と意味なんだなと感じている今日この頃です。

できるだけ多くの患者さん・地域の方々・関連の諸機関の方々と、そしてできるだけ楽しくこの役割を果たし事業を進めていきたいと考えています。よろしくお願いします。