京都民医連第二中央病院広報誌 2013年4月発行 vol.19

激動の16年間 門 祐輔

院長退任のごあいさつ 激動の16年間 門 祐輔

第二中央病院とともに

本院ご利用のみなさん、長い間お世話になりました。私は1997年安井病院が京都民医連第二中央病院へ名称変更し192床から242床になった時に、京都府北部の綾部から副院長として異動してきました。田中診療所長を兼務しながらでしたので大変でしたが、病院と診療所の両方の視点から地域、他の医療機関、組織のあり方を見ることができたのは貴重な経験でした。2002年から11年間病院長を務めました。

1997年からの16年間は激動の時期でした。2000年に始まった介護保険で介護のあり方が全く変わり、1割負担原則が老人医療に持ち込まれました。2001年は小泉政権が誕生し「聖域なき構造改革」の名のもと、社会保障の切り捨てが大問題になりました。2003年には健保本人が3割負担になり、医療費自己負担は3割が原則になりました。たび重なる医療費抑制政策により「医療崩壊」という言葉がマスコミに登場してきました。2009年の政権交代でようやく社会保障が重視される時代が来るかと思いきや、民主党を中心とする政権がマニフェストと正反対の政治を進め再び政権交代し、生活保護費切り下げなど新たな社会保障抑制政策が始まろうとしています。

地域完結型へ

第二中央病院は、「京都民医連の第二センター」と位置づけた病院です。しかし医療のあり方は、各医療機関の自己完結から地域完結型へと変わってきました。医療機関が連携して地域の医療を行っていく方が、医療資源を有効に活用でき質が上がるという考えです。左京区およびその周辺には京大病院、府立医大病院、第一・第二日赤病院など高度・急性期病院があり、高い力量を持つ開業医の先生方がたくさんおられます。中小病院は得意分野で地域に貢献しています。本院は、総合的な外来機能を持ち、救急指定病院として一定の急性期医療を行いつつ、リハビリテーション、透析、精神科分野を主要な柱にしてきました。法人の5診療所から500名を超える訪問診療を行っており、こうした方々の入院機能も果たしています。広い意味での障がいを持つ人を支え、在宅支援を行うことが本院の使命と考えています。2011年秋に242床を172床へ減らし、70床の転換型老人保健施設「茶山のさと」を建設したのもその一環です。私が在籍したこの16年間は、自己完結型センターから地域で特色を生かす病院へと変えてきた時期だと言えます。

病院の質を高める目的で、2005年に病院機能評価の認証を得ました。2011年には京都府で初めて病院機能評価「リハビリテーション機能」の認定を受けました。今年の夏にはISO(国際標準化機構)の認証を取得し、継続的な改善に取り組みます。

運動の力を実感

2010年の京都府知事選挙では大変お世話になりました。社会保障切り捨て、「医療崩壊」、地域の方々の大変な現状を目の当たりにして、いてもたってもいられない思いでの出馬でした。みなさんには診療体制の変更でご迷惑をおかけし、また残念な結果ではありましたが、選挙を通じて実現した政策もあり、「運動の力で歴史は進む」ことを実感しました。

老朽化した南館建てかえは、次の体制の中で是非実現してもらいたいと思います。私は再び綾部(京都協立病院院長)で勤務することになりますが、この地域での経験を生かして全力を尽くすつもりです。16年間本当にありがとうございました。