京都民医連第二中央病院広報誌 2007年9月発行 vol. 9

地域を支える洛北診療所

洛北診療所 所長 山西 卓

家庭医療の定義

1.心理的にも受診しやすい
2.どんな問題にも対応する
3.健康な時も継続してかかわる
4.スタッフが協力して行う
5.責任をもって行う
6.患者中心の医療
7.家族を含めたケア
8.地域全体をみていく医療
9.健康問題への社会的対応
10.共感できる人間関係

 洛北診療所は叡山電鉄岩倉駅から北へ歩いて10分くらいにある診療所です。外来はもとより、生後3ヶ月から始まる予防接種から、外来受診も困難となった方への往診や訪問看護まで、実際に0歳から100歳までの方を診ています。

 中川裕美子医師の後を引き継ぎ、私は昨年10月よりこの診療所の3代目所長となりました。専門は、難しくいうと、家庭医療学と糖尿病です。そして、簡単にいうと、なんでもありのかかりつけ医です。

 家庭医療は下のように定義されることが多く、循環器科や消化器科、小児科のように、対象を年齢や身体の臓器で限定しておらず、その人まるごとを診ていきます。また、人の集合としての地域や家族をも診ていきます。

 この家庭医療の内容は日本では昔から当たり前に行われていたことでもあります。しかし、医療が複雑になるにつれて、その当たり前のことがされなくなってきています。また、学問として確立することでこれまで行われていたことの質を高いレベルで維持することができます。もちろん、現在の西洋医学に(時には東洋医学に)もとづいて医療を行い、必要に応じて専門家へ紹介します。なので、身体にかかわることで(場合によってはそれ以外でも)何か困ったこと、気になることなどあれば、どこに受診するのがよいか考えずに、とりあえず来てもらえれば、相談し、時には一緒に考えながら、適切に検査、治療、案内をさせていただきます。

 私の家には1歳半と3歳になる子供と学生をしている妻がいます。また、今はバラバラですが、親や、これまでに出会ってきた友達がいます。皆、それぞれの人生があり、日々頑張って生きています。診療所に来られる方にも人生があります。そんな一つ一つの小さいかも知れないけれど大切な人生を、少しでも不安が少なく、少しでも楽しく、笑顔で過ごすお手伝いができれば嬉しいなぁ、と思って、今日も外来や往診をしています。

洛北診療所 TEL 075-723-0960