京都民医連第二中央病院広報誌 2006年10月発行 vol. 7

地域から安心して療養できる施設ベッドをなくさないで!

事務次長 坪田美也子

高齢者が入院するベッドがなくなる?

 今年6月の国会で成立した医療「改革」法には、高齢者の長期入院を担っている療養病床(全国で医療保険対応型25万床、介護保険対応型13万床)を2012年度までに、医療保険型は15万床に削減、介護保険型は全廃する計画が盛り込まれています。

 国は、「療養病床は、医療必要度の高くない患者の社会的入院の場となっている。こうした患者には、介護施設(特別養護老人ホーム・老人保健施設など)や有料老人ホーム、在宅に移ってもらう」と言います。

 そもそも社会的入院は、国が福祉の肩代わりを病院にさせてきたことに原因があります。現在でも、特別養護老人ホームの待機者は全国で38万人を超えています。在宅に帰るにしても、「独居」「介護者自身が病気・障害・高齢」など介護力不足が大きな障害となります。この上、療養病床の廃止・削減となれば、行き先のない多数の「介護難民」「療養難民」を生み出すことになります。

患者負担は、10月から更に重く…

 高額の患者負担も重大な問題です。昨年10月から介護施設では、「居住費・食費」の支払いは全面自己負担になりました。「1か月当り十数万円の支払いをしている」ケースはごく一般的で、国民年金の満額受給者(月額6万7千円)でさえ、払い続けることは困難な水準です。

 今年10月からは、医療保険型の療養病床でも、「居住費・食費」が自己負担になりました。更に、公的年金等控除の縮減や老年者控除の廃止に伴ない、課税所得の額が上がり、自己負担限度額自体が大幅に引き上げられる患者様も、ちらほら出てきています。

廃院する病院も…

 患者負担がこれだけ上がるのだから、病院は儲かっているのでしょうか? いえいえ、療養病床の経営が立ち行かず、廃院する病院も出てきています。

 2006年7月から、診療報酬(厚生労働省が決める医療費の価格)により、医療必要度の高くない基準の患者の入院料を、以前より3割以上安く設定したことが原因です。当院でも、これだけで、年間1億円近い減収を見込んでいます。

署名にご協力を

 患者・利用者様にとっても、病院にとっても、今回の医療改悪は耐えられるものではありません。力を合わせて、医療改悪中止の取り組みを進めましょう。現在「療養病床の廃止・削減と患者負担増の中止等を求める請願署名」に取り組んでいます。ご協力をお願いします。