京都民医連第二中央病院 第二十三回倫理委員会議事録 |
参加:沼部委員長、小田切委員、中川委員、山際委員、門委員 □新委員の承認奥田委員の定年退職により、第二中央病院師長、山際さんを新委員とすることを承認した。 □議題①遺伝子診断の考え方について *門委員より、「遺伝子解析を求められた事例」について紹介を受け、討議した。 *概要 当院患者様ご家族より、「ALK遺伝子転座によるものか否かを調べる必要があるため、主治医と話をし、インフォームドコンセントを確認後、自治医大に資料を送れば1週間程度で回答がもらえる。各医療機関の倫理委員会で患者の遺伝子解析に関する承認を得ていることが必要。」との相談を受けたことに対する対応について。 下記門委員と委員長とのやりとり *本院の「倫理委員会規定」では、委員長が招集すれば臨時に委員会が開催できますが、具体的な臨床試験はこれからのようですし、そこまでやらなくてもいいか、とも考えます。例えば、委員長の了承をえて、まずは求められている「遺伝子解析に関する承諾」を行い、正式には次回の倫理委員会で正式に報告・承認を得る、ということでどうでしょうか? *遺伝子診断に関しましては、遺伝関連学会10学会による「遺伝学的検査に関するガイドライン」に沿って行われることとなっています。患者さんの遺伝子解析を行うにあたっては、臨床遺伝学を専門とする者からの十分な説明(実際にはカウンセリングまで)を受けた上で、検査を行うことのメリット・デメリットを理解した上で承諾できる環境をまず整備することとなります。臨床遺伝専門医制度が発足しており、臨床遺伝専門医のいる施設では、その医師からのインフォームドコンセントで十分と思いますが、今回のケースで、院内でどこまで遺伝子解析に関する説明が行えるかが焦点となると思います。即ち、結果陽性となった場合に、他の家系内メンバーの罹患可能性がきちんと説明できるか?また検査を行うことによりこのような家系内のリスクの推測が出来るが、その場合にリスクのある家系内メンバーに適切な情報提供が出来るか?などを考慮に入れ、形式としては、遺伝子解析担当の医師(今回は遺伝子解析を自治医大に依頼する医師)を決め、その医師から遺伝子解析に関する倫理審査書式を提出していただき、承認のもとに遺伝子解析を実施するということになると思います。承認の書式は施設により複雑なものから簡単なものまでさまざまですが、倫理委員会委員長名で作成することになります。これらのステップを全て踏むのには時間がかかりますし、また自治医大でも正式な倫理審査書類を求めてくる可能性が高いと思います。通常は、既に臨床遺伝専門医がいて、遺伝子診療部門を有している施設で検査を行ってもらうことになると思います。今回も、京大や京都府立医大、阪大などの施設での検査が望ましい旨をお伝えする方が良いのではないかと考えます。ちなみに、検査後の臨床試験ですが、私どもが扱っている臨床試験の研究計画書では、80歳以上の方を対象外とする臨床試験が少なくありません。今回の臨床試験の内容は存じ上げませんが、このような点で臨床試験に参加できない可能性もあることもお伝えしておいた方が良いかも知れません。 *この検査を京大などでやっていただけるのでしょうか? *京大内部では行っていないようです。必要に応じて(もし協力関係があるようであれば)、自治医大と共同研究という形で検体を採取して自治医大に送付して検査ということになるかと思います。少なくとも、多施設共同研究との形での研究計画書は倫理委員会には提出されていないようです。 *<その後の経過>上記内容を患者および患者家族へ伝えて、本院では行わなかった。その後、別の病院を経由して対応している様子。 *「遺伝学的検査に関するガイドライン」の本年9月に、見直しがおこなわれる。 資料
②関節リウマチの治療薬、生物学的製剤の長期安全性研究(SECURE)への参加について。 中川委員より、以下の内容で検討要請を受け討議した。 「関節リウマチの治療薬、生物学的製剤についてはその長期安全性についてはまだ不明な点が多く、特に悪性リンパ腫、白血病などの悪性腫瘍の発生報告があります。日本リウマチ学会による研究事業として多施設でのデータを集め、日本人関節リウマチ患者で、生物学的製剤使用患者の悪性腫瘍発生率、生存率を調査するSECURE研究があります。製薬会社からの情報では、さまざまな制約があり不十分と考えています。倫理委員会にて参加をご検討願います。」 *当院では、レミケード、エンブレルを使用している。 *臨床観察研究として、研究計画書を提出する。 *倫理委員会としては、参加について承認することにした。 *今後「倫理」のありかたについて、“ヘルシンキ宣言(2000年改定)”(2008年、ソウルで改定されている)、「疫学研究(平成19年改正)に関する倫理指針」(厚労省)の検討をおこなう。 次回 12月22日(火) 18:30- 西別館会議室 |