特集 南館リニューアル 「あすかいさん」と親しんでいただける病院をめざして
病院名変更・病院長交代のお知らせ
京都民医連あすかい病院 前院長
磯野 理
公益社団法人信和会 京都民医連第二中央病院の歴史は、当院の初代院長安井信雄先生が1937年に開設した安井医院に始まります。安井先生は「金はある時に払えばええ」、命は平等、を信条にこの地域の経済的に困窮した人々の医療を支えてきました。その医療方針を受け継いで1955年、当院は社団法人信和会安井病院として田中飛鳥井町に誕生しました。病院開設と同時に、志を同じくする全日本民主医療機関連合会(全日本民医連)に加盟致しました。今から64年前のことです。1997年には円町にある京都民医連中央病院とともに京都民医連の中心的役割を担う急性期病院として、京都民医連第二中央病院と病院名を改称して今日まで22年間、地域医療に貢献して参りました。
我が国の高齢化はこの20年間で急速に進み、医療を取り巻く環境も大きな変化を遂げました。当院は2011年に242床の病院の病床70床を分離して介護老人保健施設「茶山のさと」を開設致しました。そしてご存知のように昨年12月には3年余に及ぶ南館リニューアルを完了して、地域包括ケア病棟や緩和ケア病棟を新たに立ち上げ、第二中央病院と改称した当初とは異なる医療機能を選択する方向に舵を切りました。それは今日の超高齢化社会にあって、救急医療・外科系医療など専門性を追求する急性期医療から、高齢者医療、在宅医療、リハビリテーションなどを軸に、亜急性期・回復期の医療を介護・福祉と連携して提供することで、この地域で真に求められる165床の病院となるための転換でした。そのような時代の流れと医療機能の変化に従い私たちはこの度、(信和会全職員、友の会の方々の総意に基づき)病院名称を変更することを決定致しました。
2019年4月1日、当院は「京都民医連あすかい病院」として新たなスタートを切りました。培われた伝統を受け継ぎ、地域に寄り添い信頼される病院をめざします。これまで安井病院、第二中央病院を応援してくださった皆さん、京都民医連あすかい病院にこれまで以上のご支援を賜りますよう何卒宜しくお願い申し上げます。
尚、私は3月31日をもって院長の職を辞し、4月1日より中川裕美子医師が新院長として病院の舵を取ります。京都民医連あすかい病院ともども宜しくお願い致します。
京都民医連あすかい病院 新院長
中川 裕美子
この4月から病院名は「京都民医連あすかい病院」となりました。60年以上の歴史を持つ当院は「安井病院」として誕生し地域の皆さんに「やすいさん」と親しまれてきました。その後「京都民医連第二中央病院」と改称してきました。「命の平等」の理念は病院名が変わっても変わっておりません。今度は「あすかいさん」と親しんでいただけるように頑張りたいと思っています。私は前院長磯野理医師のもとで副院長をつとめさせていただき、この春から院長の任につきました。副院長には内科下之内康雄医師、精神科近藤悟医師が着任いたしました。どうぞ宜しくお願い致します。
南館のリニューアルを終え、心新たに出発できたのも友の会の方々地域の方々のご協力があってのことです。建設中は外来の患者さんへの案内など友の会の皆さんが先頭に立って取り組んでくださいました。「病院の手伝いをして病院のことが一層好きになった」とおっしゃってくださった方もおられます。「人の為に何かしたい」という思いをもった方々に支えられている病院なのだと心から感動しました。こんどは地域の皆さんや地域自体が健康に暮らせるようなお手伝いをしていきたいと考えています。
京都民医連あすかい病院には約330名の職員がおります。職員たちもまた「人の為に何かしたい」「患者さんたちが笑顔になれるようお手伝いがしたい」と集まってきたメンバーです。4つの病棟(急性期病棟、地域包括ケア病棟、回復期リハビリ病棟、緩和ケア病棟)や外来部門、往診センター、透析センター、精神科デイケアそして訪問看護、訪問介護と様々な部署で働いています。医療だけでなく介護にも力をいれ、地域の病院や開業医さん、施設、地域のさまざまなステーションと連携をしています。「お互いに顔の見える関係」づくりに努めています。
院長に就任してから「先生がんばりすぎないで!」と皆さんに声をかけていただいています。ありがたいことです。私自身は職場や家族の協力で女性医師として29年間働き続けることができました。これからは地域の方々の命と健康を守りながら自分自身の健康にも気をつけなければ…そして職員全員の健康維持活動にも取り組みたいです。
地域の皆さんに「今日ちょっとあすかいさんに行って来るわ」と気軽に来ていただける病院をめざして。医療費のこと、介護のことなど困ったときの窓口「よろず相談所」として。これからも宜しくお願いいたします。
南1階 外来
外来は、南館リニューアルに伴い、すべての科が1階で診療できるようになりました。
玄関を入って、右(西)側に、泌尿器科・外科・整形外科・皮膚科。通路の奥に、眼科・婦人科・内視鏡室があります。左(東)側は、精神科・内科・処置室となっています。
6月から、土曜日に心療内科が新設され、整形外科の診療も再開されています。
内科は時間外診療や救急診療もできる体制を整えています。
また、患者さんが住みなれた地域・自宅での暮らしを支えられるように、介護保険申請や介護サービスのご案内、往診(訪問診療)の相談も行えるようにしています。
南2階 急性期病棟
南2病棟は、病状が変化する可能性が高い急性期の患者さんの入院を対象としています。「急性期」とは病気が発症し急激に健康が失われた状態をいい、発症後おおよそ14日間以内とされています。そのため、入院された時点から退院後の生活を見越し、患者さんの病状に応じて、自宅介護や元の施設に戻るための調整を行っていきます。また、適応がある場合は、回復期リハビリ病棟や地域包括ケア病棟への転棟も検討します。疾患を抱えつつも患者さんが住み慣れた家や施設で自分らしい生活が継続できるように、相談員・リハビリスタッフ・栄養士・薬剤師などの多職種と協働して、支援を行っています。
南3階 緩和ケア病棟
2018年12月に21床の緩和ケア病棟を開設しました。緩和ケア病棟は、主にがん終末期の患者さんへのケアを行っています。
がんを患い入院してこられる患者さんとご家族は、多くの身体的・心理的・社会的な困難を抱えておられます。私たち緩和ケア病棟のスタッフは、それらの困難から決して目を背けることなく、患者さんやご家族が、その困難を乗り越えられるように援助していきます。
苦痛を緩和し、いつでも「自分らしく生きる」ことを支えるために、さまざまな専門職と協力して、患者さんやご家族に寄り添い続けていきます。
病室は全て個室です。しんどい時でも使いやすいように、工夫されたトイレを全室に設置しています。また、お風呂は普通の浴室もありますが、しんどくて湯船につかれない方のために、寝たまま浴室へ行き、温かいミスト浴で身体を温めていただくこともできます。
デイルームは、ゆったりとした広い空間を確保しており、患者さんとご家族が一緒にお食事やおやつを食べることができます。ソファーに座って休憩したり、読書やテレビ鑑賞もできます。
そして、ご家族の方の希望があれば、患者さんのそばで休憩することができますし、家族控室を使用して寝泊りをする事も可能です。大切な人たちと一緒に「いまこの時」を共にゆっくりと過ごしていただけます。
また、がんによる辛い症状が緩和できれば、ご自宅で過ごすことを考えていきます。どのようにすれば住み慣れた家で過ごすことができるかを多職種で検討し、患者さんやご家族の希望に添えるように関わらせていただきます。訪問診療や訪問看護などを利用し、安心して在宅療養生活が送れるよう支援させていただきます。
私たちは、「無差別・平等」を掲げた民医連綱領の理念のもと、個室料(差額ベッド料)はいただきません。どなたでも安心して最期の時まで過ごせるように支え寄り添ってまいります。