京都民医連第二中央病院広報誌 2012年4月発行 vol. 17

シリーズ:おススメDVD

宮川卓也医師

内科 宮川卓也

大いなる休暇

暗く重く心にのしかかる反戦と尊厳の映画

ジョニーは戦場へ行った

 
監督
ドルトン・トランボ

の映画を初めて見たのは高校生のころだったが、すっかり暗く落ち込んだ気分になってしまった。心に重りが乗ったようだった。
  ストーリーはこんな感じ。恋人に再会を誓って意気揚々と出兵したジョンは戦場で瀕死の重症を負い、両手足と、触覚以外のすべての感覚を失ってしまう。話すこともできず、周囲の人間と意思疎通がとれない。過去(カラー映像)の楽しかった思い出を回想しながら、病院の一室での現実(白黒映像)の状況に耐える日々。しかしある時自分の意志を伝える手段を作り出す。『戦争で傷ついた自分の姿を見せ物にしろ。できないなら、死なせてくれ!』
  ストーリーはフィクションも入っているのだろうが、あまりにも救いようがない…。
  この悲惨な映画は強烈な反戦のメッセージを持っている。インターネットを見ていたら、「この映画は極端なケースで、これで戦争は悪だと決めつけるのは短絡的だ。」という意見があったが、程度の差はあれ、戦争が取り返しのつかない傷を多くの人に負わせることは確か。やはり戦争=悪だと思う。
  そしてもう一つの大きなメッセージは尊厳。医師も登場しているが、彼らの言動は今では信じがたい。「この患者は肉の塊だ」「この患者を研究材料にすることは許される」「看護師は感情移入してはいけない」。この映画は第一次世界大戦の時代がモデルだが、人間の尊厳てこんなものだったのか?と思ってしまう。良心ある看護師が、触覚だけ残された患者にある方法でMerryChristmasの言葉を贈るのが本当に救い。きっと本当にいたんだろうなあ。
  その医師たちも最後にはついに患者のメッセージを理解し、自分たちが研究材料にしていたのが意志を持った人間であることを悟る。そしてどんな行動をとるか? 彼の尊厳は守られるのか?
  ネタバレになるので全部は言わないが、どんな人にも一度は見てほしい映画。ただし心と体がある程度健全な状態にある時に。