田中飛鳥井町 いのちのカルテ

「ここまでやるか」医療再生への感動ドキュメント

住民の声に耳を傾ける行政を

 目の前の患者に対応するだけでなく、そのことを通して見えてきた問題を共有し、行政を動かし制度の改善を求める運動を患者・家族・地域住民といっしょに進めていける、そんな病院であり続けたいと思う。そしてそうした声に耳を傾ける行政を、みんなの力で作っていきたい。

profile 門 祐輔(もん・ゆうすけ)

1955年大阪市生まれ。京都大学医学部卒業。京都民医連中央病院内科医長、京都協立病院医局長、田中診療所所長、京都民医連会長などを歴任。現在、京都民医連第二中央病院院長、京都民医連副会長。日本リハビリテーション医学会専門医、指導責任者、近畿地方会幹事。日本神経学会神経内科専門医、指導医。日本内科学会認定内科専門医。日本脳卒中学会専門医、同評議員。

読者の声

 患者には一人一人生活があり、感情や性格があります。 何らかの理由により医療を受けられない、受けようとしない患者の健康を守るためには、そのような個別性にしっかりフィットした形で、患者を医療者の連携という輪の中に組み入れることが、患者の健全な生活を再建する一番の道であることだと感じました。
 もちろん、医療を受ける、受けないは個人の自由です。しかし、お金がない、知識がないなどの理由で、初めから「受ける」の選択肢がないのはおかしいです。 本にあったようなボランティアの方々の活動が、いわゆる社会的弱者の権利を守っているのですね。 人間の助け合いというものを、大切にしていきたいと強く思いました。

(看護学生2年)

 第二中央病院の患者さんには「ハウスレス」はいても、「ホームレス」はいない!保険証ではなく、心で繋がる医療の実践に感服!

(医学生1年)

 どんな治療が患者さんにとってベストであるか、その答えは簡単には見つかりませんが、見つけるための努力はできると思います。その努力の中でこの病院が見つけていく「答え」は、必ずしも「ベスト」ではないかもしれませんが、僕にとっては輝いて見えました。

(医学生1年)

 ホームレスの末期がんの男性、ALSの患者様、高次脳機能障害の男性などのエピソードが紹介されていました。 わたしが感じたのは、医師、看護師、ソーシャルワーカーなど病院自体が「気づき」を大切にされているということです。そして、 気づいた事を、立場を超えて話しあえる機会をもうけている。患者さんの声にならない要求に、気づき、そしてどうすれば最も良い方向に向かえるか考える。それは専門技術を超え、人として何ができるか、情熱や執念にも似た職員の方の強い思いと行動力。本を読んでいて、胸が熱くなりました。
 門医院長は本のなかで「いのちに格差はない」とおっしゃっています。どんな人でも場所でも安心して医療が受けられる社会。私が住んでいた徳之島でも離島医療の問題は肌で感じてきました。「そんなことできないじゃないか」そう考える事は容易いですが、こんな社会にしたいという信念を持ち、本当にできるのかできないのか具体的に動いていく。門医院長の姿勢がそのまま病院の職員の姿勢になっていると感じました。
 看護師を志す者として医療技術、知識を学ぶ他にも、試行錯誤しながら気づき、考えて動くことをやっていきたいです。

(看護学生)