京都民医連第二中央病院広報誌 2012年10月発行 vol. 18

「サンピラー」 Gorou Ishikawa
このサンピラーは、高空に漂う氷の粒に太陽光が反射して光の柱のように見られるもので、通常は冬の季節に多いのです。

予防が大切な時代―健康や生活を守るために-

門院長京都民医連
第二中央病院
院長 門 祐輔

いつの時代でも、病気や障がいはなってから対処するよりも、予防できればそれにこしたことはない。成果はともあれ、メタボ検診や介護予防が強調されてきたのはそう考えてのことだ。

では原発事故についてはどうだろう? デンマークのように、早くからその危険性を考え風力発電やバイオマスなど自然エネルギーを重視してきた国がある。 日本は福島原発事故を経験しながら、いったん止めた大飯原発を再稼働させたし、大間原発工事は再開するという。 何かあれば、医療者は傍観できないが、その仕事がむなしいものになることは、繰り返し起こった原発事故事例から明らかだ。

TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)は経済だけでなく、日本の国民皆保険制度を崩壊させる可能性がある。だから私たちは医師会と一緒に反対している。

ロンドン五輪で日本中がわきたっている時に「社会保障制度改革推進法案」が可決されたが、国の責任を放棄し「家族相互及び国民相互の助け合い」を通じて社会保障が実現される、と述べている。 財源は消費税に限定し、生活保護制度を見直す。法の目的は財政的理由と明確に書いてある。内部留保を貯め込む企業の法人税は引き下げておきながら。

あらためて、私たちの健康や生活を守るためには、民意からかけ離れた政治を変えることが最大の「予防」だと実感する。民意で政権が変えられることは、2009年の選挙ですでに私たちが学んだことだ。