京都民医連第二中央病院広報誌 2006年6月発行 vol. 6

「あじさいの夢」 photo by Gorou Ishikawa

医療・介護へもっと国のお金をかけよう

京都民医連第二中央病院
院長 門 祐輔

 今進められている「医療改革」は高齢者を中心に新たな保険料負担、窓口負担を増やすことが一つの柱です。もう一つの柱は医療・介護を提供する病院や診療所などのあり方を根本的に変えることです。

 国は長期に入院できる“療養病床”を今後6年間で38万ベッドから15万ベッドまで減らす方針です。これまで療養病床にいた人たちはどこに行くのでしょうか?

 行き先がありません。国は入所施設を増やすことには消極的だからです。在宅で、といいますが在宅が無理だから入院・入所しているのです。在宅医療は24時間対応できるようにする医療者側の努力と「家で暮らしたい」「家で暮らさせたい」という患者・家族の思い、近所の助け合い・ボランティア、介護保険制度を含めた地域力、介護体制がなければ成り立ちません。住宅環境、バックアップする施設の充実も必要です。

 日本の医療・介護のあり方を変えるなとは言いませんが、より良くするためにはもっとお金をかけることが必要なのです。先進国の中では異常に少ない医師や看護師、介護スタッフを増やすこと、地域力、介護体制を充実させることが求められます。

 今年の4月から診療報酬・介護報酬が大きく変わりました。それぞれ3.16%、2.4%引き下げられ病院や診療所の経営は火の車です。

 「高齢化が進み医療費が増え、このままでは日本の国がもたない」というのが国の言い分ですが、日本は先進国で最も医療費が少なくすんでいる国なのです。

 あらためて、医療・介護へもっと国のお金をかけようと呼びかけます。下手な「公共事業」よりも雇用を生み出し、将来不安をなくす最も「効率的」なお金の使い方なのですから。